業務の流れと滞留
会社の仕事は、情報を受け取り、判断・加工し、次の人や仕組みに渡すことの連続です。 このページは情報が発生してから価値に変わるまでを端から端まで並べて、課題・所要日数・待ちの内訳・継ぎ目・情報の再入力・誰が見えているか・改善案までを同じ形式で示します。
出発点はお持ちの業務フロー図です。上の切り替えで、そこに何を足したのかを比べられます。
対象業務
在庫のあるケースが、得意先の指定した納品日・センター単位に割り付けられて出荷に変わるまで。8工程・9か所の受け渡し・年250日
この画面が見ている記録(本デモでは合成)
① いま何が起きているか
在庫のあるケースが、得意先の指定した納品日・センター単位に割り付けられて出荷に変わるまでを、直近3ヶ月(2026年4〜6月)の受注 18,600件の記録から測りました。残りの 8.0日は、待つ・探す・照合する・入れ直すための時間です。 作業を速くしても、この時間は減りません。
リードタイム
合成データ8.7日/ 1サイクル
直近3ヶ月(2026年4〜6月)の受注 18,600件の平均
工程 6.0日 + 継ぎ目 2.6日(差戻し 0.4回分を含む)
価値を生んでいる時間
合成データ0.6日/ 8.7日
直近3ヶ月(2026年4〜6月)の受注 18,600件
実作業 5.4人時を担当人数で割った日数
自社の仕組みで縮められる待ち
合成データ6.8日/ 8.7日
直近3ヶ月(2026年4〜6月)の受注 18,600件
相手の応答を待つ時間は別に数えています。自社の改善見込みには含めません
端から端まで見えている役割
合成データ0役割/ 5役割
2026年7月
課題の発見が、個人の経験に依存している状態
② 業務フロー図に実測を重ねる
お持ちの業務フロー図と同じ形です。足したのは、工程の日数、矢印(受け渡し)の日数、使っている記録、時刻の記録があるかどうかの4つだけです。上の切り替えで元の図に戻せます。図の日数は、差戻しなしで1回通した場合の値です(この後の節は差戻しを含む1サイクルあたりの値です)。
図の工程(または上のID)をクリックすると、その工程に時間がかかっている理由と数字の出どころが開きます。図や表を右クリックすると、その工程に課題を貼り付けられます。
その場で出た課題を図に貼れます。保存先はこの端末のブラウザのみで、他の閲覧者の画面は変わりません。
課題
EDI以外の受注がFAX・電話・メールで届き、担当者のExcel台帳に書き写している。
紐づく工程: 1. 受注の受付実測を添える
③ 時間はどこで失われているか
待ち時間をまとめず、承認待ち・受け渡し・照合・重複入力・着手待ち・相手の応答の6つに分けています。相手の時間を自社の改善見込みに混ぜると、効果が実態より大きく見えてしまうためです。
価値を生んでいる時間
0.6日7%
自社の仕組みだけで縮められる待ち
6.8日79%
相手の時間(届け方は変えられる)
1.2日14%
| 時間の種類 | 日数 | どこで発生しているか | 縮められるか |
|---|---|---|---|
| 受け渡し工程と工程、社外との間で情報が移動している時間。人が運ぶほど長くなる | 2.6日現状 3.6日 → −1.0日 | 発注データ(商品・数量・納品日・センター)、受注の内容(Excel台帳の行)、引き当てできたロットと出荷可能日、得意先の確定回答(メール)、受注内容と出荷条件の照会、承認の結果、出荷指示書、出荷指示(メール・FAX・指定様式)、集荷依頼と着日の連絡 | 自社で縮む |
| 確認・照合情報が合わず、突き合わせて確かめている時間 | 1.3日 | 在庫と賞味期限の引き当て、出荷指示の確定と配車の押さえ | 自社で縮む |
| 重複入力すでにどこかにある情報を、別の器へ人が入れ直している時間 | 1.3日 | 在庫と賞味期限の引き当て、受注の登録、出荷指示の作成 | 自社で縮む |
| 社外・他部署の回答待ち得意先・協力工場・他部署の応答を待っている時間。届け方を変えれば縮むが、相手の時間そのものは自社では決められない | 1.2日 | 出荷可否と納品日の回答 | 相手の時間 |
| 承認・決裁待ち内容は出来ているが、承認の順番を待っている時間 | 0.9日 | 出荷条件の承認 | 自社で縮む |
| 着手待ち仕事は届いているが、人の手が空くのを待っている時間 | 0.7日 | 受注の受付、倉庫への出荷指示の伝達 | 自社で縮む |
| 実作業人が実際に手を動かし、情報を判断・加工している時間 | 0.6日 | 受注の受付、在庫と賞味期限の引き当て、出荷可否と納品日の回答、受注の登録、出荷指示の作成 | 縮める対象ではない |
④ 止まるのは工程ではなく継ぎ目
どの工程も、担当から見れば正しく処理されています。時間が溜まるのは工程の中ではなく、渡した後から受け取る前までの間です。この区間は、送り手にも受け手にも自分の仕事として見えていません。
円の大きさ = その区分の受け渡しで失われている日数です。右下にあるもの(組織とシステムの両方をまたぐもの)ほど、送り手も受け手も進み具合を見られません。
| 渡しているもの | 渡し方 | 日数 | またぐもの / 記録 |
|---|---|---|---|
| 出荷指示(メール・FAX・指定様式) | 紙・郵送 | 0.6日 | 組織・システム / 記録なし |
| 受注の内容(Excel台帳の行) | 人が渡す | 0.4日 | 組織・システム / 記録なし |
| 集荷依頼と着日の連絡 | 人が渡す | 0.4日 | 組織・システム / 配車・輸送の依頼記録 |
| 発注データ(商品・数量・納品日・センター) | 人が渡す | 0.3日 | 組織・システム / 記録なし |
| 出荷指示書 | 人が渡す | 0.3日 | またがない / 入出荷管理の出荷指示記録 |
| 承認の結果 | 人が渡す | 0.2日 | 組織・システム / 記録なし |
| 得意先の確定回答(メール) | 人が渡す | 0.2日 | 組織・システム / 記録なし |
| 引き当てできたロットと出荷可能日 | CSV手動 | 0.1日 | システム / 記録なし |
| 受注内容と出荷条件の照会 | 自動 | 0.1日 | 組織 / 受注管理の登録ログ |
| 継ぎ目の合計 2.6日(総リードタイムの 30%)。工程を速くしても、この時間は減りません。 | |||
⑤ 同じ情報が何回入力されているか
工程ではなく情報を軸に並べ替えると、同じ情報がシステムを移るたびに人が間に入っていることが分かります。システム同士がつながっていない分を、人が埋めています。
商品コード・品番
得意先の発注データ
人の手 5回 / 器 5個
数量(ケース)
得意先の発注データ
人の手 4回 / 器 5個
ロット・賞味期限
ロット・トレーサビリティ(製造時の採番)
人の手 3回 / 器 3個
得意先別の単価・特売条件
売価管理(得意先別価格)
人の手 1回 / 器 3個
橙は、人が入力・転記・照合している箇所です。1サイクルで合計 13回あります。同じ情報が別のシステムに移るたびに、人が間に入っています。
⑥ この流れを端から端まで見ている人はいない
それぞれの担当は、自分の受け持ちを正しく見ています。見えていないのは担当と担当の間で、そこには記録も残っていません。そのため問題は起きてから調べることになり、事前に気づけるのは経験のある人だけになります。
営業部(担当者)
自分の得意先のメールとExcel受注台帳 ・ 遅れ0日
記録 1/17点(6%) ・ 体感 5点
SC管理部
在庫とロット台帳の画面 ・ 遅れ0.5日
記録 2/17点(12%) ・ 体感 1点
物流部 倉庫課・配車課
届いた出荷指示書と配車の依頼記録 ・ 遅れ1日
記録 2/17点(12%) ・ 体感 2点
営業管理部
特売条件の画面と受注一覧 ・ 遅れ1日
記録 1/17点(6%) ・ 体感 2点
経営層
月次の受注・出荷の集計 ・ 遅れ30日
記録 0/17点(0%)
時刻の記録
いつ始まっていつ終わったかが残っているか
端から端まで見えている役割
0役割
最も広い役割でも 2/17点(SC管理部)
現場の外から確かめられる観測点
1/ 17点
日数にすると 8.7日のうち 0.1日です。残りは担当者に聞かないと分かりません
時刻の記録が残っていない
10/ 17点
4.9日分です。問題が起きてから調べ始めることになります
経営に届くまでの遅れ
—日
経営が数字で見ているのは 0.0日分で、全体の0%です。残りは月次の集計値にまとめられます
この取り組みが変えるのは、ここです
優秀な人を仕組みで作ることはできません。一方で、これまで一部の人にしか見えていなかった詰まりを、記録として全員に見えるようにすることはできます。上の赤い区間に記録が入るだけで、「なぜここで1.3日止まっているのか」という疑問を、経験の有無にかかわらず誰でも持てるようになります。
いま経営に届いているのはこの流れの外側の集計値だけです。問題を解く速さ以前に、問題を知るまでの時間が改善の速さを決めています。
⑦ では何を変えるか
人を速く働かせる打ち手は入れていません。対象はすべて、待ち時間・同じ作業の繰り返し・人が間に入っている受け渡しです。効果は何の記録で確かめるかまで決めてあり、見込みのままにはしません。
リードタイム
モデル推計8.7日現状 8.7日
打ち手適用後
打ち手を選ぶと試算されます
年間の削減見込み
モデル推計0万円/ 年
打ち手適用時
年250日で換算します
人手・紙が残る工程
合成データ6工程/ 8工程
打ち手適用後
Excel・紙・郵送・押印のいずれかが挟まる工程
一度きりの改善ではなく、循環にする
1. 見える
工程と継ぎ目に時刻の記録を入れ、どこで止まっているかを常に見られるようにする
2. 直す
止まっている理由の大きい順に、人が間に入っている受け渡しから外す
3. 確かめる
各打ち手に決めた記録で、本当に速くなったかを同じ画面で測る
4. 次を見つける
縮んだ結果、次に長くなった区間が自動的に上に来る
損失の大きい順に、実測から機械的に抽出しています
なぜ「受け渡し」に 2.6日 を使っているのか
工程と工程、社外との間で情報が移動している時間。人が運ぶほど長くなる。発注データ(商品・数量・納品日・センター)、受注の内容(Excel台帳の行)、引き当てできたロットと出荷可能日で発生している。
全体の 30% ・ 自社の仕組みで縮む時間
なぜ「承認の結果」の受け渡しに 0.6日 かかるのか
人がメール・口頭で渡すで渡している。組織とシステムの両方をまたぐため、どちらの担当からも進捗が見えない。
記録が残っていない ・ 渡してから着くまでを誰も測っていない
なぜ「商品コード・品番」を 5回 人の手で入れ直しているのか
得意先の発注データで発生し、5つの器を通って「出荷指示の品番」に変わる。その途中で人が入力・転記・照合している。
通る器: 担当者のExcel受注台帳 → 倉庫・ロケーション → 商品コード変換表(Excel) → 入出荷管理 → 外部倉庫の指定様式(Excel)
なぜ 10か所は、いつ始まっていつ終わったかの記録が無いのか
4.9日分(全体の57%)は、担当者に聞かなければ実態が分からない。問題が起きてから調べ始めることになる。
現場の外から確かめられるのは 1/17点
花ノ木製菓
システム資産可視化